ゴルフ歴20年。デザイナー目線でのゴルフの楽しみ方

デザイナーとして国内外のブランドのプロダクトデザインを手掛ける他、グッドデザイン賞の審査副委員長や一般社団法人「JAPAN CREATIVE」理事など活躍の場を広げている倉本仁。家具や家電製品、自動車などさまざまなジャンルのデザイン開発を生業にしている彼の趣味もまた驚くほど多種多様だ。中でもゴルフは20年以上の経歴をもつ。

「会社員時代にゴルフが流行って、その時に同期仲間と始めたことがきっかけです。会社の先輩たちもアドバイスをくれたり、一緒にコースを周ってくれて、仕事でもコミュニケーションが取りやすくなりました。それからコツコツ続けて、20年以上経ちましたね」

最近では同業のデザイナー仲間が集まってゴルフコンペを開催したり、毎年大学の同期で行く長野でのゴルフ旅は15年目を迎えるなど、ゴルフは人生に欠かせないものになっていると楽しげに語る。

「ゴルフ旅は国内は北海道から沖縄まで、海外も旅行や出張に合わせてコースを回ります。ゴルフを覚えたての頃、仕事で中国の北京に赴任していたのですが、仕事終わりにゴルフレッスンに通っていました。中国のゴルフコースはとにかく敷地が広大で、あの非日常的なゴルフ体験は、今でも忘れられません」

デザイナーとして日常のあらゆる事象を仕事のインプットにしている。もちろんゴルフもその中の一つで、コースのランドスケープや植栽への観察には力が入る。

「コースの植栽を見るのが好きで、どんな植物の種類かによってコースの雰囲気も変わってくるし。僕は木工家具のデザインにも携わることも多いので、ゴルフ場の周囲の環境が人口の杉林なのか、天然の広葉樹の森なのかもついつい気にしてしまいます。紅葉時期の広葉樹の森は様々な色の葉が混じり合って本当に綺麗ですね。さらに、南の島へ行くと植生もガラッと変わってくるし……ゴルフよりそっちの方を楽しんでるかもしれませんね(笑)。
コースの設計デザインも同じで、デザイナーがどこにどういう木を植えることで視界を作っているのかとか。ゴルフ場はランドスケープデザインとして観察するのもおもしろいんですよ」

ものづくりの聖地・燕三条でフィッティング体験

ものづくりの聖地、新潟県燕三条へ。EPONもこの町で誕生し、直営店兼自社工房も構えている。併設したフィッティングスタジオには、その確かなクオリティを求めて遥々国内外からファンがやってくる。今回はEPONの最大の魅力、プロによるフィッティングを体験しにやってきた。

「基本的には買ってから長く同じものを使うので、最後にフィッティングをしたのはもう10年以上も前です。しかも、こんなに本格的な施設ではなかったのでなんだか緊張しちゃいますね(笑)。フィッティングって、何が欲しいのかはっきり言える人もいれば、シャイで言えない人もいると思うんです。プロの方々がどう引き出すのか気になったり……どんな体験ができるのか楽しみです」

年間300件以上のフィッティングを担当するEPONトップフィッターの三星良。プライベートな空間で最低1時間以上かけてフィッティングする。4つの特殊なカメラ機能を持った弾道計測器を使用し、スイングのデータの解析しながら、その人にあった究極の一本に導いていく。

「エポン直営店の強みは、自社製品を一番理解する我々スタッフが、計測器に反映される数値についてだけでなく、ヘッドの重心などがどのように影響を与えるかなどをより詳しく説明できる点だと思います。お客様が欲しいと思うクラブと一番結果が出るクラブが必ずしも一致しないこともありますが、どうやってお客様の希望を叶えながら、その中でも一番いい数値に持っていくかというのがフィッターの仕事だと考えています。」(三星)

フィッティングの結果、今まで使っていたクラブとタイプが違うものを選んだという倉本氏。

「クラブ選びのこだわりのひとつは打感です。僕が選んだクラブ(AF-707)は手に残る弾き系の打感がとても心地いいですね。デザイナーという職業柄、フォルムにもこだわりが強い方です。EPONは洗礼されたデザインにファンが多いとよく聞きますが、確かに見た目もスタイリッシュな印象です。シャープでありながら安心感のある絶妙なバランスの形状で、技術的にも狙いやすさが増した気がします」

EPONのクラブを作る工房にも訪れ、職人の手仕事を見学。自らのものづくりへの想いを重ねた。

「EPONのものづくりの世界は圧倒的にこだわり抜くことに重きを置いていて、そのためにお客様に完全なる満足を提供するというハードルもすごく高い。想像しうるベストなことをやっていこうっていう熱い想いが感じられました。
昔、デンマークで出会ったブランドの社長さんが面白いことを言っていて、『僕らはクオリティにしか興味がないから、職人さんに1日何個作るということを言っていない。とにかくいいものを作った分だけ出せばいい。そこには本物が欲しい人たちが集まる』と言っていて、実際にマーケットでのブランドの価値も高いんです。EPONでの体験もそれに近いものを感じました」

〈SHOP情報〉
エポンゴルフ株式会社 新潟直営店
営業時間:月〜土曜日【10:00 – 17:30】
フィッティング予約はこちらから:https://epongolf.co.jp/fitting/
※基本予約制

ゴルフの魅力とものづくりのこれから

自身のゴルフの楽しみはスコアにこだわらず、あえて難しいコースやグリーンに挑戦すること。全部を良くしようとして一喜一憂するゴルフよりも、1打でもいいショットがあるとモチベーションに繋がる。そうやってゴルフと向き合っていると、仕事にも通ずるものがあると感じるようになった。

「ゴルフは人によってスタイルがあるように経営もそうで、人と同じことばかりというよりは、ちゃんと自分のスタイルを見出していくことが大事だと思います。誰が弾いても同じ音が鳴ることがない面白いゴルフ、そして、そんな仕事をしていきたいです」

最後に、今回燕三条の工房を訪れたことで、デザイナーとしてこれからも大切にしたいことが再確認できた。

「僕のものづくりのこだわりは、チームワークの中で強い表現を探っていくこと。とくにコミュニケーションを大事にして、開発に携わる人たちの声をしっかり反映しながらものを作っていきたいんです。EPONがフィッティングでお客様の声を大事にしているように、僕らもチームの言葉を大事にして、それをデザインで表現したいと思っています。デザインにも言葉や想いを伝える能力があると信じているので」

〈SHOP情報〉
●大磯プリンスホテル
〒259-0193 神奈川県中郡大磯町国府本郷546
https://www.princehotels.co.jp/oiso/
●箱根園ゴルフ場
〒250-0522 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根138
https://www.princehotels.co.jp/golf/hakone-en/